星を越える錯覚を覚えた夜

※コンサートのネタバレをしています。

2017年12月10日。ヤフオクドーム。急きょ今年のツアーに参加できることになった私は興奮を通り越して妙に冷静だった。制作開放席って本当に存在するんだなぁとぼんやり思いながら席に着いたのを覚えている。

 観覧後私はハチミツとクローバー美大生の主人公が作製途中の卒業制作を自ら壊すシーンを思い出した。今の嵐を見てまだ何者でもない自分と向き合いもがいて苦しむ若者が主人公の漫画のワンシーンが浮かんだのだ。

目の前にあることを着実に地に足をつけてこつこつと積み上げるようにここまできた嵐は二宮くんの言うようにもう完成されている。以前全てを投げ打って下克上を起こそうとしたメンバーに「目の前のことを頑張れない奴が何を頑張れるんだ」と強く諭した大野さんの言葉が思い出される。目の前にあることを頑張る。そんな当たり前のでも難しいことをやめなかった5人が嵐だ。そしてあの日相葉くんが願った夢を自分の手にした。こんなのまやかしだと信じてないと言った言葉の強さの意味がこの夢が覚めないことが夢だと言った言葉の中でこだまする。コンサート演出の舞台裏の気迫を見てどこまでできるんだろうという言葉の誠実さを感じる。嵐は誠実で勤勉で真面目。目の前のことを投げ出したりしない。終わりすら見据えられる冷静な判断力と達観した考え方の下でたくさんのことを吸収してたくさんの人に求められてたくさんの新しいステージを生み出しその経験を大切に積み重ねてきたのを私は知っている。そして私はそんな嵐が大好きだ。

 

でもあの日あのステージで「未完」が流れた瞬間だけは違った。今までのことを投げ打ってでも何かになりたいと思うような若々しい覚悟を感じた。今まで積み上げてきたものをマシンガンでぶっ放すような新しい自分になるための暴力的なまでの前進力を感じた。まだ何者にもなれていない人がもつ様な爆発力はそのまま私を落涙させた。嵐はまだ終わりに近づいたなんて思ってない。私は、いつも終わりを知っているような目で、今まで積み重ねたことを真綿に包むように慈しみながら、目の前にあることを投げ出したりしなくても、全く逆の覚悟を持つことができる人がこの世に存在する事を知った。未だ完成されてない。その先に行くためにまだ何者でもない何かにになろうとする嵐は強い。それは死や終わりがもし運命のように決まっていてもそれでも最後まで抗うことを諦めない強さだ。最後の力なのかもしれない強い強い生命力で何があるか分からないその先に足を踏み入れていく只中の彼らを見た気がする。赤く曇るようなスポットライトに浴びせられた嵐はまだ終わらない。ひたすらもがいて生きる嵐を表現するに値する言葉を知らない自分がもどかしいほどに美しい姿だった。5人で見るための降りていく景色も自分で引く引き際も全部ひっくるめて醒めない夢を見るために嵐は今詠っている。終わりを意識することが前に進む原動力になることを知った夜に嵐なら今よりもっと、宇宙の外側まで世界を広げられると思った。聡明で強く優しい人たちを好きになってよかった。